メイン画像
メイン画像

気象庁は10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。ラニーニャ現象が続いているとみられますが、春の間にはラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性が高いと予測しています。

1 月の実況

1月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は−1.2◦C で、基準値より低い値でした。太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は、西部から中部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年程度でした。

このような大気と海洋の状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示しており、ラニーニャ現象が続いているとみられます。

今後の見通し

実況で太平洋赤道域の東部に見られる海洋表層の冷水は、目先、東部の海面水温が低い状態の持続に寄与する見込みです。一方、中部で東進している暖水は今後とも東進し、春の後半にかけて東部の海面水温を上昇させるとみられます。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後、春の前半にかけては基準値より低い値が続きますが、春の後半には次第に基準値に近づくでしょう。夏は基準値に近い値で推移すると予測していますが、予測の不確実性が大きくなっています。

以上のことから、今後、春の間にラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性が高くなっています(70 %)。

西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況

• 西太平洋熱帯域: 1 月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、春にかけて概ね基準値に近い値で推移し、夏は基準値に近いか基準値より低い値で推移すると予測されます。

• インド洋熱帯域: 1 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、春から夏にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。

日本の天候 春にかけて どうなる?

過去の統計によりますと、ラニーニャ現象発生時、冬(12~2月)の日本の天候は、平均気温や降水量には特徴がみられませんが、日照時間は北日本太平洋側で平年並みか多い傾向です。

ただ、2020年~2021年の冬にも、ラニーニャ現象が発生しましたが、この時は、前半に強い寒気が流れ込んだ影響で、群馬県藤原や新潟県湯沢では24時間降雪量が1mを超えるなど、記録的な大雪となった所がありました。この大雪のため、関越自動車道では多数の車両が立ち往生するなど、大規模な交通障害が発生しました。また、西日本日本海側で降雪量がかなり多くなりました。一方、冬の後半は寒気の南下が弱く、気温が高めで、冬を通してみると東・西日本と沖縄・奄美で暖冬でした。

このように、ラニーニャ現象が発生している冬には、一時的に強い寒気が流れ込んだり、大雪になったりすることがあります。

今後、春の間には、ラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性が高いと予測していますが、まだしばらくは、気温の変動が大きくなる可能性があります。最新の気象情報を確認してください。