大阪公立大学4年の北川凛さんは3年の4月から就職活動をスタートしたという。
「4月からインターンに向けたエントリーシート(ES)を書き始め、5月に初めて参加しました。秋ごろまでに10~15社は参加したと思います。インターンが集中する夏休み期間はサークルを休んで専念しました」
北川さんが多くのインターンに参加した一番の理由は業界・企業研究だった。
「興味があったのは人材や教育業界でしたが、飲食や不動産など様々なインターンに参加しました。少しでも実際の業務に触れることで、『合う・合わない』が明確になったと思います」
■本選考の「練習」として
北川さんはインターン参加を通して、当初からの希望だった人材業界を目指すことに決めた。就活ルール上の採用選考が始まる前の今年2月、インターンにも参加して第1志望と考えていた大手人材企業から内々定を得て、早々と就職活動を終えた。
インターンを本選考の練習と位置付ける学生もいる。京都大学3年の福澤佑太さんは今年5月から就職活動をはじめ、大手コンサルや商社などのインターンに参加した。いずれも参加希望者が多い企業で、ESや適性検査、面接によって参加する学生を絞り込む。福澤さんは言う。
「本選考に向けたESの書き方や面接の『練習』として、インターンへの応募を始めました。選考難度が高そうなところを中心に受け、最初は落ちることも多かったけれど、後半はコツをつかんで通過することが増えた。当初の目標は達成できたと思います。同時に、目指したい業界も絞り込めてきました」
企業の側も、インターンを学生たちへアプローチする貴重な機会と位置付けているようだ。
キリンホールディングスは、夏におもに理系向けの「研究コース」と全学部対象の「マーケティング戦略コース」と題した3日間のインターンを実施した。冬にもエンジニアリングやデジタルICT戦略など複数のコースで開催を予定している。人事総務部人財開発担当の吉村友美子さんはねらいをこう説明する。
「数十分の会社説明会だけでは会社や事業について概要のインプットだけで終わってしまいます。一方インターンでは実際に業務の一端を体験してもらってアウトプットにつなげたり、社員と双方向でやり取りする時間を多くとることができる。時間をかけて弊社について知ってもらう機会だと位置づけています」