大和市おひとりさま政策課によると、

「25年には団塊の世代の全員が後期高齢者の仲間入りをします。そこで、大和市では22年に『大和市おひとりさま支援条例』を施行しました」

 市では、一人でも居やすい場所や外出しやすい仕組みなどの取り組みをしている。例えば、市内の約100カ所の公園に健康遊具を設置し、一人でも運動できるようにした。

「小さな公園でも三つ程度設置し、近隣の公園と遊具の種類がかぶらないようにしました」(おひとりさま政策課)

 健康遊具を活用した体験会を年に40回ほど実施している。

 また、健康都市大学「市民でつくる健康学部」として、文化創造拠点シリウスで、健康についての講座が開催されている。さらに市民も講師になって講座を開くことができるのだ。

「高齢者の方は知識と経験があります。知識と経験を共有できますし、自ら話をすることで生き生きしてきます」(同)

 仲間が増え、新たにコミュニティーが生まれるなど、いいことが多いと今後に期待を寄せる。

 コミュニティーをつくるといっても、高齢者の情報をどう集めるかが大きな課題だ。どこに高齢者が住み、どんな状態なのか、市や町などの自治体、町内会などの自治会が、それぞれ個別に情報を持っている。それらを共有すればよいのだが、個人情報保護の壁が立ちふさがる。

 そこで栃木市では16年に「栃木市地域支え合い活動推進条例」を制定し、情報共有を可能にした。

「民生委員や地域包括支援センターの人は住民についての情報を把握しているのですが、自治会はどこにどんな人が住んでいるか情報がないということが判明しました。支援活動をしたいので名簿がほしいという声があったのが条例制定のきっかけです」

 そう話すのは栃木市地域包括ケア推進課の担当者で、個人情報の保護が支援の支障になっていたと続ける。

「高齢者の支援など市が行うのには限界があります。地域の人と連携して見守りをする輪を広げていかなければならないと考えています」(担当者)

 孤立問題は大きなつながりの中で対策を取ることが重要である。孤立を救い、自分自身も孤立しないことを心に強く留めなければならない。もはや孤立はひとごとではないのだ。(本誌・鮎川哲也)

週刊朝日  2022年10月28日号

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