孤立問題などについて、「日本の貧困問題を社会的に解決する」というミッションのもと、貧困、孤立などの問題に取り組んできたNPO法人自立生活サポートセンター・もやいの理事長・大西連さんは言う。
「経済的な支援をすれば貧困問題を解決できるかというと、そんな単純な問題ではないのです。社会的つながりを解決しない限り、貧困はなくなりません」
そこに目を向けなければ何も解決しないと、大西さんは語気を強める。そのためにもやいは、居場所の確保や社会参加への機会の提供などを行っている。
もやいは01年、野宿やホームレスの人がアパートを借りる際、連帯保証人がいないと入居できないため、連帯保証人を引き受けることから活動がスタートした。
友人や家族がいたとしても、孤立するケースもあるという。金銭トラブルだ。
「友人からお金を貸してほしいと頼まれたが、どうすればよいかという相談は多くあります。いろいろな人に金銭の要求をして人間関係を壊し孤立していくのです」と大西さん。
その場合は生活保護を使うよう話してくださいとアドバイスする。
「自分は友人から金銭の支援が受けられないと諦めてもらうことです。その上で私たちのような支援団体のことを知らせ、自分には何もできないことを伝えてください」と話す。
生活保護がもっと普通に使えるなら不幸なことは減ると強調する。
「生活保護は権利であり、誰もが使う可能性があります。生活が安定してお金を稼げるようになったら、納税をして返せばいいのです」(大西さん)
とにかく生活基盤を安定させることが第一で、そのための社会の制度をつくるべきだという。
「困窮や孤立は今の社会の縮図のように感じます。社会全体で困窮や孤立など、この国の在り方を国をはじめみんなで考えないといけない時期に来ていると、つくづく思います」
近所に孤立している可能性がありそうな人を見かけ、声をかけてあげたほうがいいのか迷っている人もいるだろう。