チェックシートは、支援の手を差し伸べるべきか判断する基準だ。作成に参加した先の野中研究員が言う。
「孤立の予防には、地域で元気なうちから見守る一次予防、外出が少なくなるなど社会参加が少なくなった場合、私的な関係で見守る二次予防、そして誰の目からも漏れた人や、関わりを持ちたくない人などを見つけていく三次予防があります。このチェックシートは最後の砦ともいえる三次予防のためのもので、09年、東京都大田区が使用を開始し、今では全国で使われているものです」
孤立を防ぐには地域住民の協力が欠かせない。専門家へ連絡すべきか迷ったときに、このチェックシートで判断できる。
野中研究員によると、
「地域包括支援センターの担当者が住民に高齢者の見守りの協力を依頼する際、このチェックシートがあると住民の理解が得やすくなりますし、これなら自分たちもできそうだと感じてもらえます」
チェックシートの1から5の特徴が見られる場合は認知症の可能性がある。季節に適した服装ができなくなるなども認知症の際に表れる特徴だ。5や6の場合は体調不良の可能性が危惧される。7から9は日頃から気をつけることで体調不良を見つけられる特徴。これらに該当する場合、家の中で倒れているなど緊急性の高いものもある。
このチェックシートは、継続的に利用して、以前より服装が乱れてきたなど変化があるかどうか、同じ話をするようになったことに加えて、具合が悪そうに見えるなど、複数の項目を見てほしいと野中研究員は強調する。
「このチェックシートで高齢者の方を見守ってもらいつつ、おかしいなと感じたら、地域包括支援センターや民生委員などにためらわず連絡してほしいですね。それが孤立を防ぐ第一歩になります」
孤立を防ぐために早くから対応してきたのが、神奈川県大和市である。18年に全国に先駆けて孤立・孤独を専門に担当する「おひとりさま支援係(現おひとりさま政策課)」を設置した。