大リーグ史上初の「トリプル150」を達成し、二刀流で2年連続結果を残しさらなる進化を遂げている大谷翔平。60号を超えたヤンキース・ジャッジとの「MVP論争」も過熱している。AERA2022年10月10-17日合併号の記事を紹介する。
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今季自己ワーストの7与四死球と制球に苦しみながら、大崩れしない。9月23日のツインズ戦。六回途中まで投げて被安打3、2失点で14勝目。「14勝、34本塁打」を記録し、1918年にベーブ・ルース(レッドソックス)がマークした「13勝、11本塁打」を上回った。29日には日米通じて自己最多タイの15勝目(8敗)を挙げた。
例年ならア・リーグは大谷が最優秀選手(MVP)で間違いないだろう。だが、今年はこの強打者が立ちはだかる。アーロン・ジャッジ(ヤンキース、30)だ。20日のパイレーツ戦で大リーグ史上6人目となるシーズン60号本塁打を達成。その後は勝負を避けられる場面が多かったが、28日のブルージェイズ戦で同点の七回に8試合ぶりの本塁打となる61号勝ち越し2ランを左翼席へ。61年にロジャー・マリス(ヤンキース)が記録したア・リーグのシーズン最多本塁打数に並んだ。
ジャッジは17年に当時新人最多記録の52本塁打をマーク。大リーグデビューから史上2番目に早い671試合目で200本塁打に到達し、今季は61本塁打と金字塔を樹立し続けている。
ミート能力も高く、加えて勝負強い。10月2日現在で打率3割1分1厘、61本塁打、130打点と打撃3部門で高水準の数字を残し、10年ぶりの三冠王に輝くか注目されている。
2人のMVP論争は米国メディアの間でも話題だ。「大谷派」は投手出身の識者が多い。打者として試合に出続けながら規定投球回数に達し、抜群の安定感を誇る投球を続けていることを評価する。
一方で、「ジャッジ派」は現役時代に強打者として活躍した専門家が多い。「投高打低」の傾向が強いなか、ジャッジはア・リーグ本塁打部門で2位のマイク・トラウト(エンゼルス、31)に23本の大差をつけて独走している。大谷とジャッジの「2人同時MVP受賞」を推す声も少なくない。