
自民党は安倍元首相を調査対象にしなかった理由を「亡くなった方の事実関係を確認することは困難」と説明していますが、すでに教団の応援票を清和会の所属議員に差配していたことがわかっている。安倍さん個人と教団との関係はいつから始まったと見ていますか。
角谷:第1次政権ではそれほどなかったと思います。2007年の参院選で歴史的惨敗を喫して退陣に追い込まれますが、それで危機感を持ったのではないか。第2次政権以降、とにかく権力を維持するためには、選挙に勝ち続けなければならないという判断で、関係を緊密化させたのでしょう。
有田:安倍さんが幹事長だった時、ご本人に「統一教会がしょっちゅう接触してくるでしょう?」と聞いたことがあるんです。あっさりと「ああ、よく来ますよ」と言うので、「お会いになるんですか」と問うと、「会わないようにしている」と。霊感商法が社会問題化したから距離を取っていた時期があると思うんです。
統一教会は自分たちの存在を大きく見せ、日本の政治を動かしているかのように吹聴します。例えば、教祖の文鮮明氏は91年に北朝鮮を訪問し、金日成主席と会談しています。教団内では、「北朝鮮ルート」があるから安倍さんは拉致問題を解決するために統一教会を大事にしたとの説が言われているんです。
■選挙応援部隊は異質なグループ
角谷:それはないでしょう。本来、政治家は頼まれなければ教団のイベントにだって参加しません。反共、選択的夫婦別姓や同性婚への反対などお互い利用価値がある時に協力関係にあるだけです。
自民党は最初から統一教会を「裏部隊」と見ています。統一教会の選挙応援は信者たちがワンボックスカーに乗って来るのですが、他の運動員たちとは決して交わらない。食事も車内でカップラーメンなんかをすすっています。選挙事務所にはいろいろな人が出入りするから一人ひとりにどんな宗教を信仰しているかなんて聞かないという言い訳もありましたが、誰が見ても異質なグループだとわかるんです。
(構成 本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2022年10月7日号より抜粋