『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』ホモサピ KADOKAWA
『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』ホモサピ KADOKAWA
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 皆さんは「ホモサピ」というYouTuberをご存じでしょうか。「公園の池にいたエビでチャーハン作ってみた」「外来種の巨大魚をとって食う」など、昆虫や魚、雑草など自然の生き物を捕獲し調理する動画を多数投稿しており、彼のYouTubeチャンネル「ホモサピ」は登録者数111万人(2022年9月2日現在)を超える人気を見せています。

 そんなホモサピがYouTubeの枠を飛び越え、本を出版しました。新しい自然科学エッセイとも呼ぶべき一冊が『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』です。

 第1章「いきもの捕獲記」では、ホモサピがこれまで捕まえた生き物たちの一部を紹介。カブトムシやバッタ、クモ、カニ、ウナギなど私たちにも身近な生き物が登場しますが、その解説の仕方が一般的な図鑑に載っているものとはかけ離れているのがホモサピらしいところ。それぞれの生き物にまつわる思い出エピソードとともに、「素揚げにしたジョロウグモは香ばしいソラマメみたいな味になる」「トノサマバッタは味もかなり美味い。生食はおすすめしないが、炙ってしょうゆをたらして食べると、ほぼカニだ」といった野食にまつわる情報もしっかりと記されています。

 こうした生き物にまつわる圧倒的な経験値と知識量はホモサピの大きな魅力。いったいこれまでどのような人生を歩んできたのでしょうか。それがよくわかるのが第2章「ホモサピ人生記」です。

 小さなころから釣りや虫取りに親しみ、日々生き物のことばかり考えていたというホモサピ少年。生き物に対する興味は一度も尽きたことがないけれど、勉強に対する興味はちっとも湧かなかったそうです。そんななかでも例外だったのが、自分の好きなテーマをノートに書いて提出する自主学習と夏休みの宿題の定番である自由研究。

「生物知識の基礎はこういった小学校時代の自主的な研究で気づかれたと思う」(同書より)

 当時自主学習で取り組んだというノートが同書で紹介されています。生き物の緻密な描写や詳細な説明には驚かされるばかり。人間、好きなことを見つけることでどれほど輝かしい毎日になるのかに気づかされます。

 さて、同書を読んでいるうちに、次第に野食調理に目覚め始める人もいるかもしれません。そんな人にぴったりなのが、第3章「ごちそう雑食記」です。これまでホモサピが動画で投稿してきた野食料理の作り方が裏話とともに紹介されています。フィレオナマズ、オオスズメバチ炒め、ザリガニの味噌汁、ドングリのチョコレート......。自分でも挑戦してみたいと思う人は、ホモサピの必須調味料「マキシマム」の用意をお忘れなく!

 「地球は食べ物」をまさに地で行く同書。読後は世界の見方がこれまでとはちょっぴり変わるかもしれません。小学校高学年以上なら読めるよう一部漢字には読み仮名が振られているので、親子で一緒に楽しむのもおすすめです。

[文・鷺ノ宮やよい]