<ライブレポート>I Don’t Like Mondays. 踊らせ、聴き入らせ、熱く盛り上げた【Black Thunderbird TOUR】ファイナル公演
<ライブレポート>I Don’t Like Mondays. 踊らせ、聴き入らせ、熱く盛り上げた【Black Thunderbird TOUR】ファイナル公演

 I Don’t Like Mondays.が、12月4日に【Black Thunderbird TOUR】横浜公演を神奈川・KT Zepp Yokohamaにて開催した。

 自身5度目の全国ツアーとなった今回。彼ららしいお洒落で踊らせるような楽曲から、情熱的に聴かせる楽曲まで、様々な姿で観客を魅了した。全国14都市20公演をまわった同ツアーのうち、本稿ではツアーファイナルの横浜公演をレポートする。

 開演前、会場に流れるSEに合わせて手拍子が起こり、観客もすでに高揚感を隠しきれない様子。会場が暗転すると、大きな拍手に迎えられてCHOJI(Gt.)、KENJI(Ba.)、SHUKI(Dr.)が登場し、SEに合わせて演奏がスタートした。その後満を持してYU(Vo.)もステージに姿を現すと、「横浜ー!」と大きな声で観客を煽り、1曲目「ダイナマイト」へ。シンセサイザーの音がどこか懐かしくもモダンな雰囲気のダンスナンバーで、さっそく観客を沸かせた。

 4つ打ちのビートで踊らせるダンス・ロック曲「STAR DRIVE」、KENJIのベーススラップとCHOJIの早弾きギターの掛け合い、そしてSHUKIのドラムソロと、楽器隊のテクニックが光るイントロから引き込まれた「美しき世界」と続いたあとは、YUもサングラスを外し、TVアニメ『ONE PIECE』主題歌にも起用された楽曲「PAINT」を披露。広い海を思わせるような、開けていてさわやかな音像に、これまでの洒脱なそれとは違う、歌詞のひと言ひと言を噛み締めるようなYUの歌い方が胸に刺さってくる。〈時に頼り合えるような 存在に支えられ〉という歌詞の部分ではYUとCHOJIが楽しそうに肩を組んでみせるなど、仲の良さが伝わる姿にも思わず笑顔になった。

 続く「DIAMOND」では少しテイストを変え、夜空が目に浮かぶようなしっとりしたムードを漂わせる。しかし楽曲の構成はEDM的で、ドロップ部分では観客も手を大きく突き上げるなど、大人しくさせてくれないギャップが面白い。ラブソング「HONNE」ではYUがサンプラーを叩いてセッションしてみせながら、チルでやさしい雰囲気で会場を包み込んだ。

 大きな手拍子が会場いっぱいに響き渡った「全部アナタのせいなんだ」、壮大な音像で、YUのロングトーンが会場の端までまっすぐ突き抜けた「重ね色」と続いたあとは、YUがピアノの前に座り、弾き語りスタイルで「LEMONADE」がスタート。繊細なピアノ、それにそっと寄り添うような単音弾きのギターの音色が美しい。2番からはリズム隊も入ってまた雰囲気を変え、サビでは4人全員でのコーラスが分厚く深みのあるハーモニーを醸し出していた。

 MCでは、まずは同公演がソールドアウトしたことについての感謝を述べたのち、初めてアルバムリリースを伴わないツアーを行ったことへの想いが語られる。「デジタルでみなさんが曲を聴いてくれて、こうやって(ライブへ)足を運んでくれるのは、感慨深いです」と真剣な表情で伝えたと思いきや、そのあとにはツアーがもうファイナルを迎えたことについて、「うえーん」と4人それぞれが泣き真似をして悲しむふりをするなど、お茶目な姿をみせる一幕も。

 そして、YUがピアノの前に座ったまま、「今の時代を歌った曲」と告げて披露されたのは、「ミレニアルズ ~just I thought~」。曲が進むにつれて、YUのピアノのタッチと歌声がどんどん力強くなっていくさまに、彼の歌詞に込める想いの強さが伝わってくる。観客もステージを見つめ、そんな彼らのパワーあふれる演奏にじっくり聴き入っていた。

 少ししんみりとしたあとは、ふたたび彼らの魅力である“踊らせる”コーナーに。「YOROI」「MR.CLEVER」を軽やかに披露すると、カートゥーンを思わせるSEを挟み、「ロンリーゾンビーワンダーランド」へ。YUの煽りに応えて観客も大きく上下に手を振り、場内の熱気がどんどん上がってくる。

 「俺たち4人が、出会って、バンドを組んで音楽を作る、それってすげえ確率のことだと思うんですよ。その4人で作った音楽を通じて、今日ここ横浜であなたたちに出逢う、それはもう紛れもない奇跡だと思いませんか!?」「だけど……僕は強欲なんです。いちばんヤバい奇跡を見せてくれ!」と、歌詞を引用したMCからそのまま「空の青さにみせられて」が繰り出されると、割れんばかりの大きなハンドクラップが巻き起こった。

 「ライブをするというのは、僕たちの仕事のなかでも一瞬のことで、ほとんどは地味な仕事ばかりです。でもこうやってみんなで音楽を楽しめて、僕はこのために音楽をやっていたんだ!」との熱いMCのあと、「こんな時代の日々を、スクロールしながら乗り越えていこうぜー!」とのYUの叫びに続いて「スクロール。(Arranged by tofubeats)」がスタート。ひと息つかせるようなゆったりした雰囲気のなかで、そっと背中を押してくれる歌詞が優しく響く。終盤ではささやかなコール&レスポンスも起こり、会場全員がひとつになったところで、本編を締めくくった。

 アンコールでは、全員がグッズのTシャツに着替えて「TONIGHT」「Perfect Night」を続けて披露。CHOJIによる物販紹介コーナー、ツアー裏話などが語られたお茶目なMCタイムのほか、この公演の翌々日・12月6日が誕生日のCHOJIを会場みんなで祝うひとときを挟みつつ、最後の「On my way」では全員でジャンプ。文字通りKT Zepp Yokohamaを揺らし、約2時間の公演の幕を下ろした。

 その音楽性とルックスからスタイリッシュな印象が強い彼らだが、今回のライブではそんな部分だけでなく、熱く聴かせるロックバンド然とした姿や、MCで見せるお茶目でユーモアあふれる姿など、さまざまな一面を見せながら、キャリアに裏打ちされたスキルと余裕で楽しませてくれた。次なるツアー【1st SELECTION TOUR】もすでに全公演完売させており、ますます勢いを増すI Don’t Like Mondays.の次なる一手を楽しみにしたい。

Text by Maiko Murata

◎公演情報
【Black Thunderbird TOUR】
2022年12月4日(日) 神奈川・KT Zepp Yokohama

◎セットリスト
1. ダイナマイト
2. STAR DRIVE
3. 美しき世界
4. PAINT
5. DIAMOND
6. HONNE
7. 全部アナタのせいなんだ
8. 重ね色
9. LEMONADE
10. ミレニアルズ ~just I thought~
11. YOROI
12. MR.CLEVER
13. ロンリーゾンビーワンダーランド
14. 空の青さにみせられて
15. スクロール。(Arranged by tofubeats)
En1. TONIGHT
En.2. Perfect Night
En.3. On my way