AERA 2022年9月5日号より
AERA 2022年9月5日号より

 有事に備えた人員や弾薬、物資の補充も必要になる。自衛隊は現在、増額の必要性が唱えられている予算の範囲内で、弾薬や物資を備蓄している。有事では爆発的に使用量が増えるため、現在の弾薬や物資などの確保が課題になる。自衛隊が南西諸島への配備を進めている12式地対艦ミサイルなどの誘導弾も高価なため、数が絶対的に不足しているとみられる。

 さらに、国民保護法制に基づき、与那国島や石垣島などでの住民避難が課題になる。山下氏は「どの時点で、どのくらいの規模で、どこに、どのように避難するのか、早急に訓練を始めるべきだ」と語る。

 そして、こうした複雑な事態を指揮する政治家の判断も重要になる。「重要影響事態」と「存立危機事態」「武力攻撃事態」が同時に混在し、変化していく事態も起こりうる。山下氏は「中国軍の演習は、日本と台湾の危機意識を高め、日本や米国、台湾の軍にとって貴重な情報収集の機会にもなった。今回の事態を前向きに捉え、努力していくことも重要だ」と語った。(朝日新聞記者、広島大学客員教授・牧野愛博)

AERA 2022年9月5日号より抜粋

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