そうやって仕入れた食材は、シェフと一緒にスープに仕上げ、社内で試食会をしてメニューに採用するかを決めていく。多くの手間をかけて、初めて店頭に並ぶスープが出来上がる。
「おいしいものには、必ず理由があります。作り手の想いを知り、それを含めた商品価値をお客様にも発信して、おいしく食べていただきたいんです」
取材した日は、青森で水揚げされた紅ズワイガニを扱っていた。規格外で廃棄されるところだったものを仕入れ、北海道産のアスパラと合わせて、ポタージュにした。
「出荷できない野菜や魚にも注目しています。先日も、千葉で雹(ひょう)に打たれて破棄することになりそうな梨があると聞きました。廃棄されるのはもったいない、何とか工夫して商品にしたいんです」
(編集・金田千里)
※AERA 2022年9月5日号