西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、ベーブ・ルース以来、104年ぶりの偉業を達成した大谷翔平選手の今後に期待を寄せる。
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エンゼルスの大谷翔平が米国時間8月9日(日本時間10日)のアスレチックス戦で6回4安打無失点に抑えて自己最多の10勝目を挙げた。1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶり2人目となる「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した。その試合で、打っても25号ソロを放つなど、自ら勝利を手繰り寄せた。
イチローも安打を放って伝説となっている選手たちを記録で結び付けてくれた。大谷はあの「野球の神様」と言われたベーブ・ルースだ。
あの頃とは時代も野球の質も変わっているだろうが、そんな比較はナンセンス。100年以上も誰もできなかったこと、挑戦すらしなかったことを、自らの実力でこじあけ、やってのけた。本当に素晴らしいし、同じプロ野球の世界に身を投じた者として、ありがとうと伝えたい。
来年オフのFA権取得とも相まってトレードも注目された今年の夏。内情がどうかは別として彼はエンゼルスに残った。大谷が活躍しても、勝てない日々が続く。はたから見れば、何で今、世界一を狙えるチームに行かないんだろうという思いもファンの方は持っているはずだ。しかも、エンゼルスは8月上旬のトレード期限までに先発右腕シンダーガード、守護神イグレシアスなどを放出した。それでもチーム再建のカードとして、大谷を残した。「再建には大谷が必要だ」というメッセージなのかもしれないが、これで終わりではない。来年夏までトレードの話は大谷について回るし、そうあってほしいとも思う。
ここまで二刀流を磨き上げてきたのだから、1年でも長くこの形を続けてもらいたい。
どれだけ体が持つのか、という部分は誰もわからない。今28歳か。30歳を超えれば、個人差はあれ、体の変調はどこかに出てくる。先発として、打者としてフル回転できるシーズンがどれだけあるのか。