
多くの人の印象に強く残るのは、そんな部分なのかもしれない。
そんな川瀬が主演する映画「激怒」が8月26日から公開される。演じるのは、いったん激怒すると手がつけられなくなるほど暴力をふるってしまう中年刑事の深間。ある事件で死者を出してしまったことで責任を問われるが、数年後に帰った街は、「安心・安全」のスローガンのもと、高圧的なパトロールを繰り返す自警団に支配される街へと変貌していた。理不尽に次ぐ理不尽の中で、深間の中に再び「激怒」という感情が沸き起こるーー。全編バイオレンス&アナーキー、そして血まみれ。川瀬がひたすら暴れまくる。
「だいぶ行き過ぎていますが(笑)。ひたすら右手で殴っています。50歳を超えてこんなバイオレンス映画の主役をやるとは思ってもみませんでした(笑)」
本作の監督・脚本は、映画雑誌を中心に評論家として活動、ほかにも翻訳者やグラフィック・デザイナー/アート・ディレクターとして多彩な活躍をみせる高橋ヨシキ。短編作品を複数制作し、本作が初の長編映画となる。もともと交流があった高橋に、「一緒に映画を撮りませんか」と声をかけられたところからプロジェクトが始まった。
「『川瀬さん、主役でどうですか』と声をかけられて。彼はもともと映画ライターで、畑違いではあるけれど、近い場所にいる存在。気が合うので、普段から飲み屋でお話をするような関係です。彼の持っている美意識や膨大な知識もあり、長編で組んでみることで面白いものが作れるんじゃないかなという思いはありました。結果的に高橋ヨシキという男の魅力の詰まった映画になっていると思います」
自身が主演すること以外、設定やストーリーなどは全く決まっておらず、川瀬と高橋の二人で話し合いを重ねながら内容を固めていった。
「今の世の中、なんかつまんないよね、みたいなところから始まっているんです。世の中の窮屈さへの愚痴から発展していきました。そんな中で、ある程度の枷だけ提示しておけばストーリーを作りやすくなるのではないかと思い、“刑事モノ”であることは提案しました。枷があることで、そこからどう逸脱していくかという方向に向かえるんじゃないかと。そこから流れ流れて今回のような形になりました」