
“あー、なんか見たことある!”
その顔を見て、思わず“ピンと”くる(指名手配犯的な意味でなく)人も多いのではないだろうか。
近年だけでも映画「シン・ゴジラ」「PとJK」「羊の木」「億男」「とんかつDJアゲ太郎」「やまぶき」、テレビドラマ「監察医朝顔」や「anone」「深夜食堂 第五部」「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」など、多数の作品に登場している、ひっぱりだこの俳優だ。
川瀬陽太・52歳。1996年に自ら助監督としても参加した自主映画「ラバーズ・ラヴァー」で主演デビュー。以後、成人映画やVシネマなど数多くの作品に出演。出演作は通算300本を超え、「近年の日本映画で最も多数の映画に出演している俳優」とも呼ばれることもある。
「『エンドロールに名前出てたけど、どこに出てたんだ?』って言われることも、ときどきあります(笑)」
と笑う。
「地上波の作品に出たときとかには『見たよ!』という報告をよくいただくのですが、『オレも見た』、『私も見た』って、僕UFOじゃないんですけどね(笑)」
主役と脇役、メジャー作品とマイナー作品で、向き合い方の違いのようなものはあるのかと聞くと、
「そこを区別して芝居ができるほどのスキルはないです」
と言う。
「ただ、主役は映画の規模の大小にかかわらず、物語の基本的なレールの上をきっちり走らなければならないですよね。逸脱することはできない。いっぽうで脇役のときには『遊べる』というところはありますね。台本にはそこまで書かれていないけれど、この役だったらこんな感じでやってみたらどうだろうかとか、Vシネマや成人映画で覚えたやりかたを試してみることもあります。それがうまくハマって、メインの物語を邪魔することなく色を添えることができたら僕の勝ち、そんな感覚があります。かつて、『あなたは責任のないところで魅力を発揮する』と言われたことがあります。それがあるから重宝されているのかな、と思うところもあります」