「お客さんの手拍子が本当にすごくて、飲まれそうになるというか……。2年生の前田が投げていたのに、自分も余裕がなくて声をかけられなかった。前田に申し訳ないなと」
捕手としてチームをけん引してきた松尾は涙が止まらない。
「前田が打たれてしまったのは、すべて自分の責任。八回のチャンスに打てなかったし、投手陣をもっと引っ張れへんかったかなと……」
一方、初の4強入りを果たした坂原監督は「弱者が強者に勝つ」が信条。
「(信条は)野球部が大きくなるために必要な言葉だと思い、就任当初から掲げていた言葉。生徒にも常にそういう話はしている。長打は望めないので、バットを短く持って、タイミングを早めにとって、低い打球を打つことを心がけていた」
大阪桐蔭の西谷浩一監督はじめ、選手らも口をそろえたのが下関国際の「しぶとさ」。大阪桐蔭に慢心はなかっただろう。“弱者らしく”というべきか、王者にしぶとく食らいついた下関国際が大きな勝利をつかんだ。
(本誌・秦正理)
※週刊朝日オリジナル記事