「JKT48」をご存じだろうか。日本のアイドルグループ、AKB48のジャカルタ版姉妹ユニットで、AKB48の曲のインドネシア語バージョンを歌っていた。一時は存続の危機とも言われていたそうだが、8月6日付日本経済新聞によれば、今、そのJKT48の新曲がヒットしているという。
その理由は、これまでのAKB路線をやめて、BTS路線に切り替えたことにあるらしい。BTSと言えば、日本でも大人気の韓国が世界に誇るアーティストだ。JKTに新曲を提供したのはBTSを手がけた米国とカナダの著名プロデューサー2人。今やインドネシアでは、かつての日本カルチャー人気は後退し、韓国文化が席巻している。
一方、インドネシア自動車市場では、依然として日本車が市場の9割と圧倒的地位を保持している。しかし、そこにも変化の兆しが見えて来た。韓国と中国のメーカーが電気自動車(EV)を市場に提供し始めたのだ。
まだガソリン車の比率が圧倒的に高く、充電ステーションも未整備のインドネシアではEVによるシェア急拡大は難しいだろうが、油断は禁物だ。両国のメーカーは、あえて日本車との直接の競合を避け、ガソリン車ではなくEVで参入する。日本はEVを量産できないという弱点をついて、自分たちの先進性をアピールし、ブランドを確立しようとしているのだ。
韓国の現代自動車(ヒョンデ)のショールームには若年層が押しかける。インドネシアの人口は圧倒的に若者比率が高い。2022年のワールドカーオブザイヤーの3冠に輝いたヒョンデの看板EV「アイオニック5」を映し出す大画面にBTSが登場し、環境保護を訴える演出は、明らかに「ヒョンデ・イズ・クール」というイメージを若者たちに植え付ける作戦だ。
中国の上汽通用五菱汽車も同様に、一時中国でも販売台数であの米国テスラを抜いたことで話題になった最量産車種の超小型EV「宏光MINI」のインドネシア版新型車を投入する。日本とはケタ違いの販売実績をアピールしてその先進性を示す作戦だ。