塾講師をしながら町議会議員を務めるりょうちゃんはその反響を喜ぶ。
「ネットの力を痛感しました。あっという間に再生回数が伸びていく。町を歩いていて話しかけられたり、一緒に写真を撮りたいと言われたり、うれしい限りです(笑)。次も頑張ろうというやりがいも得られました」
りょうちゃんは去年、2度目の結婚をした。
「それは幸せなことですよ。この年で伴侶を見つけられたというのは大きな喜び。おじキュン!での喜びとはまた別の幸せです。この年になると自分の幸せよりも、周りの人が笑顔になったり喜んでくれたりするほうが幸せを感じられますから」
自分が町に貢献しているという実感が得られるのがうれしい。そう話してくれたのは、庭園業を営むとーちゃん。
「SNSを使った新たなチャレンジのために、4人で集まって練習するのが部活動みたいで楽しい。メディアにも紹介され、地元のイベントに出演したり、他県の自治体からもお声がけいただいたりするなど、町の認知度アップに少しは貢献できて、やってよかったと幸せな気持ちです」
やはり町議会議員のみのちゃんは、生きがいがお金より大切だと言う。
「みんなに楽しんでもらえて、おじキュン!はもう生きがいだね。お金なんかよりずっと大事。今は和気町と子供たちの将来を考えるのが一番幸せ」
畳材料総合卸業を営むけんちゃんは、今後の夢をこう語る。
「和気町と同じように高齢化問題を抱えている自治体で、いろんなおじキュン!が誕生したらいいなぁと思う。そうなったら全国大会を開きたいね」
いかにも楽しそうに話す「おじキュン!」。動画から「幸せ」感がみなぎっているのは、彼ら自身が奉仕と生きがい、仲間から得られる喜びにあふれているからだった。
■「幸福度」ランク1位埼玉・鳩山町 「陸の孤島」で見えたつながる仕掛け
高齢者にとっての幸せとは何だろう。それを確かめるため、埼玉県鳩山町を訪れた。人口約1万3千人の鳩山町は、不動産会社「大東建託」が昨年発表した調査「街の幸福度ランキング」で見事、全国1位に輝いた。しかし、高齢化率が高く、“陸の孤島”とも称されるこの町がなぜ1位に?
実際に見て回ると、住民同士がつながる仕掛けがたくさんあることに気づいた。