ビジネスから「教育」の領域へ。軸足を移し、武蔵野の地で熱烈講義をする。その使命感の源は挫折経験だった(写真=加藤夏子)
ビジネスから「教育」の領域へ。軸足を移し、武蔵野の地で熱烈講義をする。その使命感の源は挫折経験だった(写真=加藤夏子)
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 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長・Zホールディングス Zアカデミア学長、伊藤羊一。昨年、武蔵野大学にアントレプレナーシップ学部が創設された。この立ち上げをリードしたのが、学部長でもある伊藤羊一だ。Zアカデミアの学長でもあり、事業家としても注目される伊藤は自信にあふれているように見えるが、人生のどん底を経験している。こんな自分でも変わることができた。この日本で、あなたも生き抜いてほしい。そんな心からの叫びを、学生たちに伝えたい。

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 とある講義の一コマ。人生の振り返りをテーマに、学生たちが過去の出来事を思い返していく。「ハッピーだった」「すごく落ち込んだ」など、その時の気持ちのアップダウンを波形で描いた「ライフラインチャート」をそれぞれが作り、4人ずつのグループに分けて質問をし合う。そして発表の時間。少し緊張した面持ちで手を挙げたのは、ラメのアイメイクのイマドキの女子学生だった。

「私、北海道から出てきてここに入ったけれど、周りのみんながすごくて自信を持てなくて……。でも、みんなのこれまでの話を聞けて、私ももっと自分を出してもいいかなって、今日思えました」

 すかさず、同じグループの男子学生が重ねる。

「あったり前じゃん! もっとぐいぐい来ていいって。遠慮するなよ」

 空気が和む。女子学生の顔がパッと晴れる。自然と広がる拍手。その輪の中に笑顔の伊藤羊一(いとうよういち)(55)がいる──。

 昨年、武蔵野大学に日本初のアントレプレナーシップ学部(EMC)が新設された。この学部は、「起業家精神(アントレプレナーシップ)をもって、新たな価値を創造できる実践的な能力を身につけた人材を育成する」ために作られた。この学部開設を、伊藤はゼロからリードした中心人物で、学部長でもある。教育の世界に身を置いた経験はなく、50代での思い切ったキャリアチェンジだ。

 この学部では、多くの科目がディスカッションやグループワークを中心とし、いわゆる教壇から知識を提供する講義型の大学教育とは一線を画す。この日の伊藤の講義も、現在の自分自身を知るために過去を振り返り、新たな気づきを得るための授業だった。学生自ら思考し、言葉を発する時間を多くとることにこだわっている。

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