02年、栃木の湿原を散策する皇太子ご一家(当時)
02年、栃木の湿原を散策する皇太子ご一家(当時)

 赤坂御用地に迷いこんだ犬が産んだ10匹のうちの2匹で、後は職員が引き取った。

 今でこそ保護犬や殺処分問題に注目が集まるが、当時はまだあまり知られていなかった。犬を含めた小さな命を守ることを両陛下が大切になさってきたからこそ愛子さまにも教えられてきた。

 愛子さまの幼稚園の通園バッグには、雅子さまが愛犬2匹の刺繍を施されていたり、愛子さまも学習院初等科になってから、犬の首に巻くバンダナを手作りされた。

「宮さまは、『ずーっとずっと だいすきだよ』という絵本が大好きで、妃殿下(雅子さま)もお好きだったことからよくご一緒に読まれていたようです。物語には、愛するペットとの触れ合いや別れなどから教えられることがあるそうで、教科書にも載るほどの作品だと妃殿下はお話しになっていました」(元東宮関係者)

 その後、2匹は老衰で亡くなり、動物病院に保護されていた生後2カ月の3代目となる犬を引き取られた。愛子さまは「まり」に寄せて「由莉(ゆり)」と名付けて、きょうだいのように可愛がられてきた。

 12歳となった由莉は、愛子さまの20歳のお誕生日の写真にも凜として一緒に写っていた。

 愛子さまも学習院初等科の卒業文集には、紀宮と同じ犬がテーマで「犬やと暮らす楽しみ」を書かれている。

 紀宮と同じ初等科5年生の時から盲導犬活動にもご関心が高かった愛子さまは、毎春、学習院大学で行われるイベント「オール学習院の集い」で「アイメイト協会」が主催するブースにも必ず立ち寄られてきた。

 雅子さまと愛子さまは動物介在療法にもご関心が高い。

「お二人やご一家で、動物介在療法のセミナーや実際に病院などに出向かれて、犬と患者との触れ合いを見学なさってこられました。犬によって、患者さんの表情が明るくなる様子に感動なさっておられました」(宮内記者)

 今後は愛子さまも紀宮と同じように、公務で盲導犬の活動を見学、体験なさるかもしれない。

 お二人の共通点はまだある。愛子さまが学ぶ学習院大学文学部日本語日本文学科(旧・文学部国文学科)は紀宮と同じ。

 お二人とも、幼い頃から、独自の歌やお話を作られるのが好きだったという。学校で学ばれるようになると、日本で生まれた短歌や詩、戯曲といった文学作品を通じて、時代背景や作者の見方を究めていかれた。

 紀宮は、美智子さまの文学に対する捉え方のセンスや文学の才能を受け継いでいるといわれる。中等科2年の時の詩「母の日に」は次のようなものだった。

<母の日に夕焼けの絵を書いた
 夕焼けはどこか母に似ているから
 夕焼けの絵を書いた
 ただそれだけの絵なのに
 母は大事にたなの上に
 かざってくれた
 夕焼けのよく見える
 窓の近くにかざってくれた>

 紀宮は大学では、和歌を学ばれて、卒業論文は「八代集四季の歌における感覚表現について」。古今和歌集から新古今和歌集までの歌を五感に分類したものだと言われ、歌会始の歌にも役立つほど研究されているという。

 愛子さまも幼稚園のご入園前から文字の成り立ちなどを学び、五七調の歌や俳句、詩などを作られてきた。初等科卒業前の文集に歴史研究レポート「藤原道長」が掲載されている。

 大学はコロナ禍で、これまで1回しか通学していないが、オンラインで課題と授業に取り組む日々を送られている。

 今後は学業を優先されながら、社会福祉、慈善事業などの公務にもご出席されることだろう。卒業後はどのような仕事に就きたいと願われているかは分からないが、陛下と同様、ご興味のあるテーマについて継続して研究なさる仕事を選ばれるのではないだろうか。

◆公務と研究を両立する働き

 愛子さまにとって、母親の雅子さまは理想の女性であり、理想の働く女性でもある。

 それは、紀宮にとっての美智子さまも同じ存在であっただろう。

 紀宮は卒業後、「公務に差し支えのない範囲で」(会見)、「山階鳥類研究所」の非常勤研究助手となった。同資料部に配属された時には、お茶くみなどもする配慮をされていたという。内親王が4年制大学を卒業して働かれるのも給与を得られたのも初めてのことだった。皇居や赤坂御用地でのカワセミの生態を研究しながら、専門書にもレポートを寄せられている。

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