被害総額はいくらになるのか。04年に政府が出した経済的被害額の総額は2兆5千億円としている。認定NPO法人富士山測候所を活用する会理事で、東海大海洋研究所地震予知・火山津波研究部門の長尾年恭客員教授によると、この被害総額は羽田空港や成田空港の閉鎖、新幹線や東名高速道路が長期間使えないような被害は算出不能として入っていないという。地震と異なり、噴火はいつまで続くかなど予測がつかないことが多いためだ。

「富士山の噴火は現代のIT化された時代で初めて経験する未曽有の災害となる可能性がある。長期間、電車も自動車、新幹線、飛行機も使えずとなれば、被害総額は100兆や200兆となるのではないかと思っています。南海トラフ大地震で想定される被害総額220兆円と匹敵する被害です」(長尾客員教授)

 個人的な対策も重要になってくる。目や肺を守るためにはゴーグルやマスクは必須。家の窓ガラスの縁には目張りをし、水や食料もストックしておく必要がある。バッテリーや発電機など停電に対する備えも重要になってくるはずだ。

 Xデーは近づいているものの、それがいつかはわからない。最悪の事態を想定して、しっかり対策をしておこう。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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