千円札(GettyImages)
千円札(GettyImages)
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「去年の12月はじめのころやったかな。ポストをあけると茶封筒にお金が入っていて、びっくりした。数えると千円札が5枚、5000円でした。茶封筒には差出人の名前など何も書いていませんでした」

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 こう話すのは、大阪市旭区千林の住宅街に住む60歳代の男性Aさん。

この付近の住宅街では、昨年10月から12月末にかけて、何者かが、住宅のポストに現金を入れるという「不思議なプレゼント」が続いていた。大阪府警に周辺住民から21件、約20万円分の届けが出ているという。

「去年10月中頃から、ポストに現金が入っていたと近所の人から話を聞いていた。ひょっとしてうちにもと思って気を付けていた。本当に入っていたので驚きました。その後、警察に届けたところ、落とし物として預かりますということになりました。最初は誰もわからないだろうから、使ってしまってもいいかと思ったりもした。しかし、まったく心当たりもないし、気味が悪いので、警察に届けた」(Aさん)

 住宅街のすぐ近くには大阪では古い歴史を誇る千林商店街がある。

中内功氏のダイエー1号店発祥の地としても知られ、安売りのメッカで、地下鉄の駅も近く、比較的、人通りも多くて、賑やかなところだ。防犯カメラなどで捜査すれば、すぐに「現金の主」は判明しそうに思えるのだが…。

「入っていた現金に犯罪性があれば、捜査ということになる。中には、認知症の方が勝手にポストに入れていったという推測をする人もいますね。現段階では被害者もおらず、犯罪の気配がないので、落とし物、遺失物という扱いになっています」(捜査関係者)

 

千林商店街(撮影・今西憲之)
千林商店街(撮影・今西憲之)
大阪府警の「落とし物公開情報」でも、大阪市旭区で検索すると、昨年10月から12月末にかけて、<茶色封筒 現金>の情報が21件、掲載されていた。だが、大阪府警に届けられたのは一部だという。

「府警に届けず、家の金庫やタンスなどで保管したままという人もいるそうです。タイガーマスクかサンタクロースが年末にプレゼントしてくれた、使ってもいいんじゃないかという方もいますよ」(前出のAさん)

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