解体した一番マグロは、表参道の回転寿司店では「中トロ1貫と赤身1貫」のセットで1040円、一人一皿限定で提供した。長尾社長は「赤身と中トロのセットをお出しする形。通常と同じ価格です。 赤身1貫が420円、中トロ1貫が620円。 セットでおひとりさま限定ひと皿。 縁起物なのでたくさんの人に食べていただきたいということで限定 にさせていただきました。1040円税込みです」と話した。

 神奈川県の三浦半島から両親とやってきた女子中学生は、

「ふだん、マグロは食べないんですが、きょうは特別の日。中トロは脂がのっていて、赤身はサッパリとしていて、すごいおいしかった、完食しました」

解体されたマグロを持つスタッフら
解体されたマグロを持つスタッフら

 表参道近くに住む40代の女性は、60代の母親と一緒に店に訪れた。

「グルメではないので、味の違いはよくわからなかったけれど、おいしかった」(40代の娘)

「他のネタやビールも注文して、2人で9840円の会計になりました」(60代の母親)

 と、レジのレシートを見せた。

 記者も行列に並び、2時間待って食べてみた。赤身に感動はなかったが、中トロは通常販売のものと食べ較べしたところ、脂ののりや厚みが全然違うように思え、すきっ腹においしい。もう、いつも食べている薄っぺらいマグロに戻れなくなるのではないかと怖かった。

  競合回転寿司チェーンの店員(37)も、24歳の店員と来ていた。一番マグロの一皿の感想を聞くと、ちょっと辛口の評価。

「きょうは、ネタは100点だったけど、シャリがどうもね。うちの寿司店ではシャリは人肌の温度にしているんですけど、少し冷たかった。もっとあったかい方がいいから80点」

「中トロ1貫と赤身1貫」のセットで1040円という価格設定は、そもそもどうなのか。

「これは、安いと思いますよ。それを考えたらやっぱり100点をあげられる」と、業界人でもビックリの価格らしい。

 前出の海鮮料理店の経営者も、「クロマグロは一貫500円では食べられないですよ。お客さんにとってはお得だと思います。原価割れじゃないですか」と話し、出血大サービスなのだという。

 初競りでは大間産が一番マグロになることが多い。今年も大間産だった。

「大間のマグロは、津軽海峡周辺を泳いでいて、天然で、冬場がおいしい。ですが、大間ブランドが一人歩きしている。龍飛(青森県)で揚がってくるマグロと大間で揚がって来るマグロは同じですよ。だけど、水揚げされた港で、価格が違ってくる。実におかしな現象が起きています」(海鮮料理店経営者)

 一方、一番マグロは毎年、高額で落札され続けているが、年々価格が右肩下がりなのも事実。2019年には過去最高の3億3360万円、20年には1億9320万円、21年には2084万円、そして今回が1688万円だ。

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価格の過熱に警鐘も