写真はいずれも撮影・上田耕司
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 新春の風物詩となったマグロの初競りは、豊洲仲卸のやま幸と「鮨 銀座おのでら」などを運営するオノデラグループが共同で、1688万円で落札。すしざんまいは一番マグロを逃した。一番マグロは、オノデラグループの系列の回転ずし店で一皿(中トロ、赤身)1040円のビックリ価格で提供。なぜ高額でも一番にこだわるのか、価格の理由や関係者の思いに迫った。

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 東京・豊洲市場でマグロの競りが始まったのは5日午前5時10分頃。「キロ単位の価格で入札し、5分、10分で競り落として結果がでました」と、オノデラグループで外食事業を担うオノデラフードサービスの長尾真司社長(42)は明かす。

 やま幸は1キロ8万円で入札した。やま幸・山口幸隆社長(59歳)は初競りに臨んだ気持をこう語る。

「オファーを受けた以上、どうしても一番マグロを買わないといけない。もし2番なら、お金を払う側に申し訳ない。失敗できないと思っていた。プレッシャーは本当にすごかった。だけど私の尊敬する人が『憂鬱でなければ仕事じゃない』と言っていたのを思い出した。仕事って憂鬱なんだな、その憂鬱さを払拭するのはやり遂げるしかない、と思って」

 一番マグロといえば、すしざんまいを経営する喜代村の木村清社長(69)を思い浮かべる人も多いだろう。実際、この日、市場に木村社長の姿はあったという。

「私が競り場に入ったら、30分くらいしたら木村社長がおみえになった。あっ、やるんだ、やっぱりと思いました。競りは終ってみなきゃ、わからない。木村社長は私が落札した一番マグロには入札せず、別のマグロに入札していた」(山口社長)

 実はマグロの初競りは、通常の競りとはマグロの選び方が少々異なるという。マグロの目利きで知られる山口社長は落札のコツをこう明かす。

「本来の私たちの仕事は、安くていいものを選ぶこと。だけど、初競りのマグロは、一番いいマグロを探しに行くゲームじゃない。一番高くなるマグロ探しなんです。今年は大間のマグロにあまり大きいのがなかったのでターゲットは絞りやすかった。競り場に入った時、一番マグロはこのマグロしかないと思いました」

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なぜ、2番目ではダメなのか