過去に起きた大正大噴火は桜島が大隅半島と陸続きになった噴火だった。軽石・火山灰は桜島のほぼ全域で20センチを超え、厚いところでは1メートルを超えた。大隅半島でも厚さ10センチの区域が、ほぼ半分の面積を占め、多いところでは1メートルを超えた。火山灰はカムチャッカ半島にまで飛んだと言われる。交通や通信が不通となり、農業も壊滅的な被害を受け、周辺地域に大打撃を与えたと言われている。
大規模噴火の兆候がなくても、取り組みを進める自治体もある。十和田火山(青森・秋田)は6200年前に噴火M5・8の大規模噴火を、915年にも噴火M5・7の大規模噴火を起こしている。青森県、秋田県、岩手県などで構成される十和田火山防災協議会は「今は静かに見えるが、十和田火山は将来必ず噴火する」と警鐘を鳴らしている。
特に影響が大きいとされるのが、青森県の被害だ。公表されているハザードマップによると、青森県は全域で10センチ以上の火山灰や軽石などの降下物があるとされる。青森市では30センチ以上、多いところでは100センチ以上積もる可能性がある。大間原発では10センチ以上、東通原発と使用済み核燃料再処理工場は30センチ以上のエリアに入っており、影響が懸念されている。
大規模噴火すれば、県が壊滅する事態が想定される。青森県防災危機管理課の担当者はこう語る。
「今はハザードマップを踏まえて、避難計画についてはいま検討しているところです。小規模噴火の対応から検討していますが、大規模噴火となると関係機関も多くなり、対応をまとめるのにはかなりの時間がかかると見ています」
一方、三瓶山(島根県)は3870年前に噴火M6・5もの巨大噴火を起こしたことがある活火山だ。巨大噴火を起こせば、数万軒もの家屋が被害を受けるとされ、風向きによっては首都圏にも火山灰が降るとも言われる。
しかし、島根県防災危機管理課の担当者は「大規模に噴火することも想定して危機意識の啓発のために年に一度講演会を開いているが、避難訓練などは行っていない。噴火の兆候もなく巨大噴火に対する危機意識は高くない」という。
自治体によって温度差がある噴火対策。しかし人類は、想定外の自然災害に翻弄され続けてきた。まずは、自分の住む地域に影響を及ぼす活火山の歴史を調べてみてはどうだろうか。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
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