歌舞伎はもちろん、映画、ドラマ、現代劇と幅広く活躍している中村獅童さん。2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、梶原景時を演じます。作家・林真理子さんとの対談では、その役柄について語っていただきました。
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獅童:Eテレで「歴史にドキリ」といって、歌ったり踊ったりしながら歴史を教える番組に出ていて、僕、もう歴史上の人物を30人以上も演じてるんですよ。卑弥呼もやってるし。
林:そうなんですか。知りませんでした。
獅童:子どもたちと一緒に歌って、その歌詞の中に歴史上の人物についてのできごとが入っていて、その歌を覚えて歴史の成績がすごくよくなったということで、感謝のお手紙をいっぱいいただいたんです。そうやって子どもたちに歴史とか歌舞伎に興味を持ってもらう。だから子どもたちをすごく意識してますね。
林:獅童さんみたいに、映像で人気が出て、若い人の心をつかんだ方が歌舞伎にお出になると、獅童さんの別の面を見たい、という若い人も歌舞伎を見に来るんじゃないですか。
獅童:僕自身はチャンネルを切り替えるようにしていて、歌舞伎をやってるときは「歌舞伎俳優中村獅童」だけど、映像のときは、歌舞伎俳優が映像をやってるんじゃなくて、「現代役者中村獅童」を存在させたいと思っていて、だからどんな役でもやります。ヤクザの役もやるし。
林:獅童さん、22年の「大河ドラマ」(「鎌倉殿の13人」脚本・三谷幸喜)にお出になりますよね。役は何でしたっけ。
獅童:梶原景時ですね。13人の一人の。
林:梶原景時って、たしか源頼朝が死んだあと鎌倉幕府から追放されて殺された人ですよね。謎の多い人。
獅童:僕も歌舞伎で演じたことがあるんですけど、だいたい悪役で描かれる人物なんです。今回はあんまり自分の感情を出さない役で、三谷作品でこんなタイプの役は初めてですよ。僕、だいたいふざける役じゃないですか。前回の三谷さんの「大河」は「新選組!」だったんですけど、僕は架空の役で、三枚目の狂言回しみたいな役だったんです。でも今回は、寡黙な人物を演じます。