「新球場のプロジェクトを立ち上げたのも当初は市へのブラフ的側面もあった。市は頑なに契約条件変更を拒んでいましたからね。01年開場のドームは施設自体としては新しい。改修などでお客さんに魅力ある形にすれば集客の伸びしろは残っていたはず。また収益構造をきっちりすれば市と球団はwin-winの関係になれた。DeNAと横浜スタジアム(ハマスタ)のような良好な関係を作り上げられたと思います」(日本ハム担当記者)
横浜もDeNAが買収する以前は球団とハマスタとの契約に偏りがあった。しかしお互いが歩み寄り誠実な交渉を重ねた結果、両者にとって最適な着地点を見つけ出した。球場の魅力や快適性が格段にアップ、エンターテインメント性に優れた素晴らしい球場となった。東京五輪に向けDeNA主導で改修を行うなど日本を代表する球場に進化を遂げている。今やハマスタのDeNA戦はNPB屈指の入手困難チケットとして知られる。
「逃した魚は大きい。NPBは日本が世界に誇れる興行で観客動員の安定性だけ見れば海外スポーツに引けを取らない。ホーム試合だけ考えても年間約70試合分の収益がなくなった。市はサッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌や新イベントなどでカバーすると強気の姿勢ですが比べものにならない。コロナ禍以降の経営は苦しく今後も不透明な状態。今後は赤字が増え続けるかもしれませんね」(スポーツコンサルティング会社関係者)
コロナ禍のため20年度以降ドームの売上高は大幅に減った。今後も先行きが見えない中、日本ハムが離れれば経営状況はさらに厳しくなるのは明白だ。コンサドーレ札幌をはじめとする利用球団、団体等もあるため早期での閉場、解体なども不可能。そうなると市民の税金によって損失補填をせざるを得なくもなる。過去に何度となく繰り返された箱物行政の負の遺産となる可能性も否定できない。
「札幌ドームへの感謝はありますが新球場を盛り上げることしか考えていません。お客さんにチケット代金以上の満足感を得てもらうこと。世界に胸を張れる施設ができるので有効活用しないと意味がない」(日本ハム関係者)