森田さんは東大時代(6年間在籍)に共産党員として活動していたが、その後、党を除名され、ブントを結成した。出版社勤務などを経て、フリーの政治評論家になったのは、1973年のことだ。

「日本の政治はこの50年間、坂を静かに転がり落ちています。この間に行われた改革はことごとく失敗。でも自民党はごまかしだけはうまくなった。近年は官僚もよく協力をするので、その傾向がさらに強まっています」

 そんな自民党に、先の総選挙でも野党は勝てなかった。

「岸田(文雄)さんというのは、何があるというわけでもないゼロの人。それなのに枝野(幸男)さんが勝手に自分で沈没した。政権交代を自己目的にして共産党と連合したから。ゼロの岸田さんがマイナスの枝野さんに勝っただけ」

 では立憲民主党の新代表になった泉健太氏はどうなのか?

「直接話をしたことはありませんが」と前置きしたうえで、「京都(泉氏の地元)の人にいろいろ聞きました。如才なく、愛想がよくて、中身のない人だそうです(笑)。でも中身のなさは、人がよければ補えるんですよ。するとチャンスが回ってきます」。

 評論家生活半世紀のベテランは、野党への期待をそう表現した。

(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2022年1月21日号