空前の大ブームを引き起こした72年のパンダ来日。これを実現したことで田中首相の人気はさらに上昇したかと思いきや、同年12月の総選挙で自民党は議席を減らしてしまった。おごりが目立ち始めた自民党に対し、有権者は思いのほか冷静だったのだ。そればかりか、日中国交正常化が田中失脚の足がかりとなったと森田さんは説明する。
「当時のアメリカは中ソの切り離しをたくらみ、キッシンジャーが工作してニクソン訪中が実現した。ところが日本までが、アメリカ側の承諾なしに中国と国交を復活させた。そんな勝手をした角栄さんを許せないアメリカは、上院でロッキード事件を明るみに出したんです」
あれから50年。令和のパンダフィーバーの裏で、今度はどんなドラマが展開されるのだろうか。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年1月21日号