こうした姿勢は、今回のまん防にも現れているという。
「支持率を下げないことが、岸田政権の政策の柱になっています。国民の反発が予想される飲食店の時短やお酒の提供、イベント会場の人数の上限などの判断は都道府県知事らに丸投げにしているんです。自治体の権限を強化すると言いつつ、政権が批判の矢面に立つことはうまく回避しているんですね」(内閣官房関係者)
こうした岸田カラーの危険性について、前出の鈴木氏は問題点をこう指摘する。
「ボトムアップなので何をするにも時間がかかり、遅くなってしまう。ワクチンの前倒しだって、厚労省任せにしたせいで混乱し、1カ月以上の遅れが出てしまった。問題は官僚丸投げですから、官僚政治の復活が生じてきています。とある省庁の幹部は私に『岸田さんはやりやすい』と漏らしていましたから。そういう意味では、政治主導ではなく官僚主導になりつつあります」
『聞く力』と称し、誰とでもうまくやっていこうと八方美人であるがゆえに、岸田首相はこれまで「夜の会合」をことさら重宝してきたという。
「岸田首相は年末年始から通常国会が始まる前の15日にかけて、週に4回ペースで”夜の会合”にいそしんでいたんですよ」(官邸関係者)
朝日新聞の「首相動静」などを紐解き、年末年始から15日までの岸田首相の「夜の会合」をピックアップしてまとめた。
岸田首相は高級な鉄板焼きしゃぶしゃぶ店、日本料理店、中国料理店を週4ペースで訪れていた。お相手は安倍晋三元首相や麻生太郎副総裁、それに芳井敬一大和ハウス工業社長、奥村洋治フジタ社長ら経済界のご重鎮。読売新聞グループ本社代表主筆の渡辺恒雄氏らメディア幹部とも会食している。
岸田内閣の年明けの各メディアの世論調査では内閣支持率が軒並み上昇し、50%を超えた。読売新聞の調査に至っては66%。感染拡大の中、政権発足以来の支持率を記録した。政治評論家の小林吉弥氏はこう指摘する。