新型コロナの国内新規感染者が1月19日、過去最多を更新し、初めて4万人を超え、「第6波」に入った。
東京都は同日、過去最多となる7377人の感染を発表。政府は「オミクロン株」の感染急拡大が続く東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の1都12県に「まん延防止等重点措置」の適用を決定した。期間は21日から2月13日までで、適用中の沖縄、広島、山口の3県と合わせて16都県となる。
一方、関西の大阪府は6101人、京都府は1202人、兵庫県は2514人といずれも過去最多の新規感染者となった。しかし、大阪、兵庫、京都の3府県知事は19日午後、オンラインで会合を開き、現時点で政府にまん防の適用を要請しないことを決めた。官邸関係者が折衝の内幕を明かす。
「官邸は昨年のように東京都の小池百合子知事にイニシアティブを取られまいと『まん防要請を出すのなら神奈川、千葉、埼玉と同一歩調を取ってからにしてほしい』とジャブを打ってました。結局、東京は『病床使用率20%でまん防を適用』と基準通りで動く形になりました。大阪の吉村洋文知事には官邸から今週初め、『19日の分科会でのまん防適用にあわせて要請をするか』と打診しました。しかし、吉村知事は『うちは病床使用率35%に到達するまでやらない』と断ってきた。その後、大阪はじめ、兵庫、京都の感染は過去最高を更新しました。結局、19日の13都県のまん防適用には間に合わなくなり、見送らざるを得なくなりました。岸田官邸は今回、小池、吉村両スター知事をうまく封じこめました。しかし、実際は自治体に責任を丸投げしただけなんです」
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう指摘する。
「岸田さんは現場から上がってきたものをそのまま承認して、批判されるとたちまち、まずいと変えるという政治手法の人。リーダーなら現場にまず自分の理念や方向性を示すべきだが、それをやらず丸投げしているのではないか。『聞く力』とか『ボトムアップ』とか言うと聞こえはいいですが…」