4年前、インドネシアの火山島、クラカタウが噴火し、それにともなう津波で400人を超える犠牲者を出した。
「あのときの噴火は陸域で起こったものですから、状況が異なります。過去、火山噴火にともなって、津波注意報や警報を出したことはありません。今回のような潮位変化の事例もありません。ですから、数値モデルをつくるためのデータはないのか、と言われれば、ないんです」
■映像を見ても津波ではない
ちなみに、トンガでは確かに「津波」があったという。
「トンガ周辺で撮影された映像を見るかぎり津波と分かるんですけれど、日本の沿岸で観測されたものは映像を見ても津波ではないです。いまの段階ではそれしかお答えのしようがありません」
今回、気象庁以外にも複数の火山の専門家に取材を申し込んだが、「まだ、あまりにも情報が少ない」という回答だった。さまざまな観測データが集まってくれば、何が起こったのか解明が進み、火山噴火に起因する津波予測に結びつくかもしれない。研究の進展に期待したい。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)