(AERA 2022年1月24日号より)
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 東京大学は、理系の女子学生の割合が他大学よりも際立って低い。背景には「女子は文系、男子は理系」などと決めつける社会的な偏見が浮かび上がってきた。AERA 2022年1月24日号の記事から。

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 そもそも、どうして理系に進む女子生徒は少ないのだろう。2013年3月の国立教育政策研究所の資料によると、高校3年生で理系コースを選択したのは男子が27%に対し、女子は16%にとどまった。

 東大理科I類1年の女子学生はこう明かす。

「高校入試のときは数学が得意だったはずの(女子の)同級生たちも、だんだんと高校の数学が苦手になっていきました。でも、女子だから仕方ないと思っていました」

(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

■PISAで男女差10点

 数学力に男女差はあるのか。世界的な調査を見てみよう。

 OECD(経済協力開発機構)は3年に1度、世界の15歳を対象にPISA(ピザ)という学習到達度調査を実施している。国立教育政策研究所・総括研究官の大塚尚子さんが解説する。

「例えば『この気温、湿度、水分補給でどれくらいの汗をかくでしょう』と実生活に近い状況設定の問題を出して、知識や技能を活用する力を測ります。知識の再生は求めません。18年の調査で日本の科学的リテラシー得点は、統計的に有意な男女差はありませんでした。一方、数学的リテラシーでは男子が女子より10点高く、有意な差がありました」

 将来希望する仕事にも男女差がある。18年のPISAで、科学・工学系の専門職に就きたいと思う割合は男子のほうが高かった。

 なぜ差が生まれるのだろうか。12年のPISAでは、

「学業成績の男女格差は生まれつきの能力差によるものではない」

 と結論付けた。そして、

「調査した全ての国・地域において、子どもに科学や技術、工学、数学などの分野の職に就いてほしいと願っている両親の期待感は、15歳の息子と娘の数学の成績が同じ場合でも、息子に対する期待感のほうが高かった」

 と周囲の環境を要因に挙げる。

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