なぜ、大学生が性被害を受けるのか。Voice Up Japan早稲田支部共同代表で国際教養学部4年の蛭田ヤマダ理紗さんは、こう見る。

「大学は成人年齢に達したばかりの年齢層が比較的多く集まり、新しい出会いや交流が生まれる場所でもあります。代表的な場所がサークルですが、サークルは閉鎖的な空間で、良いことも悪いことも慣習として残り続けます。その中で性別に基づいた差別的言動やルッキズム、性暴力が起きても外部から指摘されることがないため改善されません。個人やパートナー間での性被害は、性的同意の理解不足や性の知識の誤解があることが原因となっています」

 アンケート結果で蛭田さんが特に注目したのが、半数近い42%の回答者が性的同意の概念を十分に理解していなかった点だ。中には、「性的同意の定義や行動を説明できる」と回答しながら、「2人きりで食事または飲酒をする」「露出の多い服装をしている」などを、性的同意が成立していないのに成立した状況と答えた人もいた。

 性行為やボディータッチなどの性的行為の前に、互いの意思を確認し合い気持ち良い関係を築く──。「性的同意」という考え方だ。海外では、「同意のない性行為」自体を犯罪とする国も増えているが日本は、刑法で性的同意年齢は13歳と定められるなど、性的同意の概念の認識が低いと指摘されている。

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年1月31日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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