昨年の衆院選後、「野党としての共産党なら良いけれど、政権に関わったらどうなるの?という不安は、私たちの想像を超えて広がった」という共産の田村智子副委員長のツイッター投稿が話題になった。

 野党共闘の出発点は、安倍政権が解釈改憲で集団的自衛権の行使に道を開いた安保法制を廃止する、という訴えだった。

 その主張に対し、衆院選では安倍晋三元首相らが「廃止すれば助け合えない同盟になり、日米同盟はその瞬間に終わりを迎えてしまう」という宣伝を繰り返した。日本社会に広がる中国脅威論と連動して、野党共闘への不安がかき立てられた。15年の国会で安保法制反対の論客として活躍した野党側のメンバーの中にも、共闘の原点が、支持を広げる上での足かせになっていると感じている人は少なくない。

 田村氏は「(15年の安保国会から)6年たつなかで国民の感情も同じ状況ではない。私たちの訴えは今日の国際情勢や自公の動きのもとでちゃんと知らせていかないと国民との合意になっていかない」と指摘する。

 立憲執行部は、4月末をめどに外交・安保政策の練り直しを進めている。与党側から「台湾有事」や「敵基地攻撃能力の保有」が叫ばれるが、日米の軍事同盟の強化は諸刃の剣だ。日中国交正常化や沖縄の本土復帰から50年という節目を迎える年に、軍事に依存しすぎない外交安保政策の姿の提示が求められている。(朝日新聞政治部・南彰)

AERA 2022年1月31日号より抜粋

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