※イラストはイメージです
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「痔による出血に慣れてしまうと、健康診断で便潜血を指摘されても、精密検査を受けない人がけっこういます。そのせいで、大腸がんが進んでから発見されることが多いのです。出血がある場合は、軽視せずに早めに治療してください」

 軽症であれば、塗り薬の塗布と、飲み薬で便通をコントロールすることできれいに治る。重症のいぼ痔や切れ痔、痔瘻の場合は手術となるが、日帰りで入院は必要なく、料金は5万~6万円ほどだそうだ。

「痔の予防や悪化を防ぐためには、生活習慣を見直すことが重要です。特に最近は在宅ワークが増えていますが、ずっと座りっぱなしで仕事をせず、こまめに立ったり歩いたりしてください。それからトイレの時間は極力短く、入浴時はできるだけ湯船に浸かる。血の巡りをよくしたほうが、痔になりにくく、治りも早くなります」

 便通をコントロールするためには、食事も重要だ。

 松島病院大腸肛門病センター栄養科科長補佐で管理栄養士の新妻京子さんは、「普段から食物繊維を多くとることを心掛けてほしい」と話す。

「食物繊維には、便のかさを増やして、便通を促してくれる働きがあります。十分に摂取できていれば、つるんと排便できて痛みがなく、お尻もほとんど汚れません。逆に不足すると、便が形作られず、半液状になってしまいます」

 痔になると、排泄時の痛みや出血を防ぐため、便は軟らかいほどいいと考えがちだ。しかし、それは逆効果だと言う。

「下痢便になると、患部に便が付着し、細菌がついてしまう。また、紙で拭き取る回数も増えるため、負担も大きくなります。硬すぎず軟らかすぎず、軽くいきんですぐに排便できるくらいの量と硬さをコントロールすることが大切です」

 食物繊維の摂取目標量は、1日あたり約20グラム。水に溶けない「不溶性」と水に溶ける「水溶性」の食物繊維をバランスよく摂取したい。不溶性の食物繊維は、体内で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やしてくれる。一方、水溶性は、体内でゼリー状になり、便を軟らかく、排便しやすくしてくれる。

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