「あまりスコアは意識しないほうがいいかなと思いますし、また来週に第3局があるので、それに向けてしっかり準備できればと思います」

　いい内容で2連勝したにもかかわらず、藤井はいつも通りの謙虚な姿勢を見せた。藤井が慢心から崩れていくというイメージはどうも湧きづらい。

■快挙達成へ目前に迫る

　ほぼ唯一の弱点でないかと見られていた苦手なキノコも、最近では少しずつ克服しつつあるという。ならばいったい、どこに弱点があるというのか。

　対局翌朝のスポーツニッポン紙には、藤井が大阪名物「くいだおれ太郎」風の衣装に扮する写真が大きく掲載された。藤井のサービス精神も渡辺と同様にすばらしい。吹き出しには「王将戦第2局ももろたで」というセリフも書かれている。それはもちろん演出であり、藤井自身がそんなことを言うはずはない。

　第3局は1月29、30日、栃木県大田原市でおこなわれた。結果は藤井が勝って3連勝。王将位獲得、および史上最年少五冠の達成まであと1勝と迫った。

（ライター・松本博文）

※AERA2022年2月7日号を一部改変

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