急峻なカーブを描いて急増するオミクロン株は、従来の新型コロナウイルスと「異なる感染症」と考えるべきだと専門家が提言した。対策には「検査なしで診断」も入る。AERA 2022年2月7日号から。
【データ】第6波で感染場所等が明確になっている陽性者の区分はこちら
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厚生労働省は1月24日、感染者の濃厚接触者ら、明らかに感染の可能性が高い人は、検査を受けなくても、医師の判断で感染と診断できるようにする方針を明らかにした。
これは、厚労省の専門家会議の有志21人が21日に出した提言に基づいた方針だ。提言では、オミクロン株による感染症はこれまでの新型コロナウイルスによる感染症とは「異なる感染症」と考えるべきだとした。
従来ウイルスとの違いでまず挙げられたのは、感染拡大のスピードだ。潜伏期間がデルタ株では約5日だったのが、オミクロン株は約3日と短くなった。感染者から次の人に感染するまでの「世代時間」の中央値は、デルタ株では約5日だったのが約2日になった。
その一方で、重症化する人の割合はこれまでのところ、デルタ株などに比べてかなり低い。
猛烈な勢いで広がるものの多くの人が重症化しないオミクロン株に対して、提言では、特徴に合った効果的な対策が必要だとした。第5波までと同じ対策では医療崩壊を防ぐことができず、結果として、救える命が救えなくなる可能性があるからだ。
■必要な投薬が遅れる
効果的な対策の一つとして提言では、「感染が急拡大した場合には、外来医療の機能不全を防止するために、若年層で重症化リスクの低い人については、必ずしも医療機関を受診せず、自宅での療養を可能とすることもあり得る」とした。
従来は、症状のある人は発熱外来などで検査を受け、公式に陽性と診断されないと、治療だけでなく、公式に自宅療養を始めたり終了したりできなかった。公式な自宅療養でないと、休職や復職できない職場が多く、学校も休んだり登校を再開したりできないことが多い。医療費も公費負担にならない。