石川県には森奥戦争の名残りがまだあるという。

「馳氏、山田氏とも安倍派所属なので当初は調整すれば、なんとかなるとみられていた。だが、ここまでもつれると調整は難しい。山田氏は参院議員をすでに辞職し、補欠選挙もやがて行われるが、北陸は自民党が圧倒的に強いので負ける可能性は極めて低い。今の情勢からみれば、森氏と馳氏はかなり厳しい選挙戦になるでしょう」(同前)

 前出の安倍派所属の国会議員はこう危機感を抱く。

「安倍派としては、馳氏と山田氏の2人が出馬して票を食い合ってどちらも負けるという結果が一番、まずい。夏の参院選にも影響しかねません。前金沢市長の山野氏が強いので、森氏を説得して、情勢が厳しい馳氏を下ろし、山田氏に一本化してまとまった方がいいという意見も正直、地元で出ています。しかし、安倍派で森、馳両氏に引導を渡せるのは、会長の安倍晋三さん、ただ一人しかいません。馳氏は安倍政権で文科相をやっているので、安倍さんも難しい決断を迫られますね」

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

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大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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