2月24日告示される石川県知選挙(3月13日投開票)が自民党にとって誤算続きの展開となっている。
知事選は自民党の馳浩元文部科学相、自民党の山田修路前参院議員、山野之義前金沢市長、共産党が支持する、飯森博子氏を軸に争われる。
自民党から馳氏と山田氏が出馬し、保守分裂となる上、金沢市議時代は自民党所属だった山野氏が金沢市長を辞職して出馬を表明。情勢は混とんとしている。
「馳氏が勝つと思っていたらまったく予想外の展開になった。馳氏と山田氏は国会議員時代に同じ派閥・安倍派(清和会)に属していたのになぜ、うまく話がつけられなかったのか。地元は大混乱です」
自民党の清和会所属の国会議員はこう嘆く。
プロレスラーとして知名度が高い馳氏と農林水産省官僚から参院議員となり、2期目途中で県知事への転身を狙う山田氏はどちらも安倍派所属だが、一歩も引かない状態だという。
現職の谷本正憲知事は、7期目で勇退を決めている。谷本氏に8期目もという期待の声もまだあった昨年7月、馳氏がいきなり記者会見して、出馬を表明した。
「最も知事の椅子に近い」と当初は地元ではみられていたという。
しかし、1月の自民党の情勢調査では金沢市長だった山野氏がトップ、次は山田氏、三番手が馳氏だというのだ。
市長時代の評価が高い山野氏と馳氏は、ともに金沢市が地盤(衆院石川1区)だ。
一方、山田氏は官僚時代の実績から石川県の農林水産業に明るく、地方で支持を集める。馳氏は知名度が高い割に支持にはつながっていないという。
また、自民党の県議の大半と立憲民主党が山田氏の支援を表明し、自民党の石川県連は自主投票となった。石川県で今も隠然たる力を持つのは、森喜朗元首相だが、馳氏で地元をまとめられなかった。山田氏を支援する自民党の石川県議はこう語る。
「馳氏はもともと地方議員に評判がよくない。後見役の森氏の威光をカサに上から目線のパフォーマンスをするので反発を買っている。知事選出馬を早々に表明することで、流れを作ろうという馳氏の作戦が完全に裏目に出ています」