西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、オミクロン株の感染拡大が続く中、球界に求められる姿勢について語る。
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テレビや新聞のニュースを見ても、新型コロナウイルスの感染報告や感染者数、さらに経済活動維持のための濃厚接触者を含めた隔離期間の話題があふれている。野球界も選手に加えてコーチの感染報告が後を絶たない。
こうなると、2月1日のキャンプ以降も、感染者ゼロで乗り切ることはほぼ無理に近いだろう。今も昔も、キャンプでしっかりと体力をつけ、年間を乗り切る体を作ることが大切だし、その途中で故障や体調不良で離脱した選手は、たとえ開幕に間に合ったとしても、年間を通じて高いパフォーマンスを発揮することが難しくなる。
オミクロン株は重症化する確率が低いと言われており、その意味でこれまでのデルタ株よりは、体力回復までの期間は少なくて済むかもしれない。だが、チームの中で集団感染という確率は昨年までより高まっている。順風満帆にキャンプを送ることができた選手のほうが少ないといった状況も想定できる。
その場合、年間フル出場する野手や、200投球回を超えるような先発投手、70試合を投げるような中継ぎ投手を作ることは難しいかもしれない。今年は昨年までの九回打ち切りではなく、延長十二回を想定している。より選手のコンディション重視で、主力をいかに休ませながら試合をこなしていくか。無理をさせれば、必ずしわ寄せは来る。首脳陣には「ウィズコロナ」のマネジメントが求められる。
選手は外にも出られず、食事会場などの共有スペースに長くいることも制限されてしまうだろう。これまでなら考えられないような、自室での過ごし方が重要になってくる。今は投手ならブルペン投球の映像を分析したものがすぐに手に入るし、本など持ち歩かなくとも、電子書籍でいろいろな知識が得られる。選手にはぜひ、「自室時間でキャンプ中にこれだけはやろう」という目的を持ってもらいたいと思う。体を動かせないなら、先輩後輩でコミュニケーションをとれないのなら、知識を深める時間にあてることだ。