本来なら、プロ野球を引退した者も、将来、野球界に戻るのであれば、いろいろなキャンプ地を回って、どの球団がどんな練習をしているかを見て、それが実際にシーズン中にどう生きているかを実感することが必要になる。かつてはテレビ局や新聞社の解説者として、各球団を回る時も評論活動を行いながら、つまりお金を稼ぎながらキャンプを行脚することができた。だが、今は地上波でのスポーツのテレビ中継も減り、評論家の枠もかぎられている。コロナで入場制限のある今は、なおさら厳しい。
だからこそ、何ができるのかを考えることだ。試合の映像を見て、一つひとつの局面でどういった対応が行われているかを見るのも一つ。違う世界を見て、野球にとりいれられることを学ぶことも手だろう。「コロナだから……」と嘆くのではなく、前向きにできることを探していくこと。現役もOBもそういった姿勢が求められている。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年2月11日号