中島は高い守備力に定評のある遊撃手。プロ入り3年目の12年に定位置を確保すると、チームの主力選手として長きにわたって活躍した名手だ。しかし、昨年は自身の売りである守備で精彩を欠くと、打撃も調子が上がらず若手の細川凌平らにスタメンを譲る試合も増えた。しかし、年齢はまだ31歳と老け込むには早く、守備力強化を狙う球団には魅力的にも映る。

 特にここ数年、内野を含め守備力の弱さを指摘されるのが阪神。昨年の失策数は遊撃手のレギュラーとなったルーキー中野拓夢が17個(リーグワースト)、二塁手の糸原健斗が7個(同2位)とミスが目立つ。当然エラー数だけでは測れない部分もあるが、二遊間に不安があるのは間違いなく、13年と14年には二塁手としても多く試合に出場している中島は獲得候補に挙がっても不思議ではない。

 従来のチーム編成や選手補強はオフの期間に完結するものが多かった。しかしコロナ禍が長引いていることが影響を及ぼしている。強化の大きなウエイトを占めていた外国人選手の入国状況が読めない。またチーム内から感染者が出る可能性もある。そうなると現有戦力の底上げと国内移籍が重要となってくる。各球団これから様々なことが見えてくるだろうがカギを握るのは日本ハムかもしれない。

 ファンにとって馴染みある選手が移籍するのは寂しく複雑な思いもあるだろうが、選手の移籍は球界の活性化につながるのも間違いない。今年もキャンプから移籍期限ギリギリまで動きがありそうな気配が漂う。ペナントの行方を左右するようなトレードが決まるのか、今後の各チームの動向に注目したい。

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