■“悪役”ハーディングの靴ひも

 日本人選手ではないが、冬季五輪日本でも大きく報道されたのが、1994年リレハンメル五輪でのトーニャ・ハーディングだ。発端はその年の1月に行われた五輪代表選考会を兼ねた全米選手権での「ナンシー・ケリガン襲撃事件」。その容疑者としてハーディングの元夫が逮捕され、ライバルであったハーディング自身への疑惑が高まっていた中で強引に五輪に出場した。この時点ですでに世界中から「悪役」として目が向けられていたが、実際の大会本番でもテクニカルプログラム(現SP)で10位と出遅れると、続くフリーではなかなかリンクに現れず、失格寸前になってようやく演技を開始するも、1本目のジャンプに失敗した後、突然泣き出して演技を中断。ジャッジ席へ滑り寄り、フェンスに右足を乗せて靴のひもが切れたことを涙ながらに訴えた。結局、ハーディングは再演技を行ったが、結果は8位に終わった。

■韓国の国民が激怒した「ハリウッドアクション」

 もう一人、アメリカ代表で大きな騒動となった選手といえば、五輪3大会で計8個(金2、銀2、銅4)のメダルを獲得したショートトラック界の英雄アポロ・オーノだ。最初の問題は、2002年のソルトレークシティ五輪。1000メートル決勝で韓国代表のアン・ヒョンスと接触して両者転倒となった末に銀メダルを獲得すると、その4日後の1500メートル決勝では、韓国代表のキム・ドンソンが1位でゴールした直前に両手を広げる派手なアクションで走路妨害をアピール。会場の自国民によるブーイングが飛び交った中、審判陣がキムを失格処分とし、アポロ・オーノが金メダルを獲得した。これが一部で「ハリウッドアクション」と揶揄されたが、それから8年後の2010年バンクーバー五輪では、1500メートル決勝で韓国代表のソン・シベクとイ・ホソクが接触して転倒したおかげで銀メダルを獲得。この接触には関与はしていなかったアポロ・オーノだったが、レース後に「もっと失格者が出ることを期待していた。ソルトレークシティの時のように」と発言し、再び騒動となった。

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ゴール前で天国から地獄へ転落した選手