NHKの大河ドラマで源頼朝や義経が登場すると、その年の日経平均株価は上がる――。三井住友DSアセットマネジメント理事でチーフエコノミストの宅森昭吉さんが、大河ドラマと株価の関係を調べたところ、そんなジンクスがあったという。
大河ドラマでは、激動の人生や時代を過ごした歴史上の人物が取り上げられることが多い。豊臣秀吉や坂本龍馬ら、人気があったり、有名だったりする人物は、主役として、また大事なわき役として、過去にも繰り返し演じられてきた。これまで複数回登場したのは、戦国時代や明治維新期といった波乱の時代に活躍した人物が多いようだ。
鎌倉幕府を開いた源氏の棟梁(とうりょう)、源頼朝や、宿敵・平氏との戦いで活躍した弟の義経、平氏の棟梁、平清盛はその一例だ。3人が登場するのは、家柄や血筋がものを言った、それまでの平安貴族による政治体制が崩壊し、初めて武士による実力社会の世の中に変わった時期にあたる。北条義時が主人公となった今年の「鎌倉殿の13人」でも、3人は大事な役回りを果たす。
宅森さんによれば、これまでに頼朝、義経、清盛の3人が登場したのは、1966年の「源義経」から2012年の「平清盛」まで計6回ある。それぞれ放送年の年末と、前年の年末の日経平均株価を比べた結果、年間騰落率はいずれもプラスだった(表参照)。
宅森さんは「決して偶然ではないと考えています」と言う。
「一時期に比べて視聴率は低くなったとはいえ、大河ドラマは日本にとって大きな転換期を描いた物語が1年を通じて放送されます。視聴者の中には、年配の経営者や働き盛りの会社員をはじめ、世の中を動かし、将来を担う層も少なくないはず。ドラマから元気をもらったり、刺激を受けたりすることもあるでしょう。すると企業の活動も活発になり、株価や景気も上がりやすくなるのではないでしょうか」