──予算が限られていたこともあり、約20日間というかなり短い撮影だったそうですが、大変だったのでは?

「12月にニューヨークで外のシーンを撮影した。その後クリスマス明けに、他の部分を一気に撮影した。息つく暇もなく、走り続けるような撮影だった。理解しなければならなかったのは、いろいろ考えすぎると不可能な演技だという点だった。強烈すぎて息がつけないような。でも少しずつ、一歩一歩、シーン一つひとつをこなしていくうちに、レオになりきれていたし、気が付いたら撮影は終了していたんだ」

──活動家としても有名なお母様のピラール・バルデムと同様、あなたもこれまでさまざまなプロジェクトにも関わっておられます。最近は南極大陸がテーマのドキュメンタリー「サンクチュアリー Sanctuary」をプロデュースして出演もされていますね。

「数年前、映画祭で賞を受賞したんだが、配給会社がついていなくてね。早く見つかればと願っている。映画祭や多くのイベントでこれまで多くの人に見てもらった。これからも南極の保護運動には関わっていきたいと思っている。環境問題というのは、自分にも責任があると感じる。僕は3時間以内の旅は、飛行機を避けて電車か車を使うように心掛けている。残念ながら仕事上、いろんなところに行かなければならないから、飛行機に乗るときは、罪悪感も生まれる。世界を変えるために、政治家が集まり環境危機の解決策を見いだしてほしいと願っている。さもなければ、人類はすべてを失うことになるから。現状としては、自分でできることを可能な限りやるしかないんだ」

(在ロンドン=高野裕子)

週刊朝日  2022年2月18日号