北京五輪のスキージャンプ混合団体で高梨沙羅がスーツの規定違反で失格となったことについて、日本選手団の伊東秀仁団長が、国際スキー連盟(FIS)に抗議しない意向を表明したことが大きな反響を呼んでいる。
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高梨は同競技の1番手で飛び、103メートルを計測。女子個人銅メダルのニカ・クリジュナル(スロベニア)の126・6点に次ぐ2位の124・5点が表示されたが、その後にスーツ規定違反で失格となったことが判明。規定違反の理由は高梨のスーツがもも周りが規定より2センチ大きかったという。1回目の得点が「0」となり、うずくまり顔を覆って涙を流している映像が映った。2回目は98.5メートルを飛び、佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑も好ジャンプで猛追したが、4位とメダルに届かなかった。この競技で4カ国5人と失格者が続出。ルール適用と透明性について注目を集めた。
報道によると、13日に北京市内のメインメディアセンターで中間報告会見を行った伊東団長は「現時点ではすべての選手やスタッフのケアを最優先として今大会に注力することが必要だという認識」と強調した上で、「今すぐこのルールに対して我々が抗議するということではない。今後この規定に関してはスキー連盟を通していろいろ話し合いながら、抗議ではなく改善を求めていく可能性はある」と述べたという。
「各国の選手たちから『これまでと違う採寸方法だった』という証言が出ています。ルール違反をしたから従ってFISに抗議しないというのではなく、採寸方法がどう違ったのか、なぜ事前にその通達がなかったのかなど詳細を明らかにするように訴えるべきです。もちろん、高梨選手の精神的ケアは重要ですが、2度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、なぜ今回のようなアクシデントが起きたのか検証しなければないといけない。一連の騒動の一番の問題点はルール運用が極めてあいまいなことです。計測方法は統一されるべきだが、『今までスーツ規定のチェックが甘かったから、今回も通るだろう』と日本選手団が判断したのであれば責任の所在を明確にすべきです。高梨を含めて選手たちは大げさでなく命をかけて戦っているわけですから」(スポーツ紙記者)