こうした取り組みの背景には、政府の「健康日本21」がある。国民の健康増進を図る基本的方針で、厚生労働省がさまざまな要望を自治体に提示。00年度に始まり、現在は13年度からの第二次計画にある。健康寿命は「この10年で延びている」(厚労省担当者)。
都道府県も取り組んでいる。福岡県は20年2月から「ふくおか健康ポイントアプリ」を開始。300ポイントためると、クーポンと引き換えることができ、県内の協力店で使える。県担当者によると、国民健康保険加入の勤労世代の受診率が低いという健診や、食生活の改善、運動習慣の定着の目標達成でポイントを付与。北九州市は独自アプリを展開するが、県アプリを活用するのは28市町村と全体の約半分だ。
福岡県の人口約510万人のうち、県アプリの登録者は約4万3千人。年代別に50代、40代、60代、30代の順に多く、県担当者は「働く世代がメインターゲット」という。やる気を起こさせて利用者を拡大しようと、21年秋には市町村対抗、今年1~2月は職場対抗のウォーキングラリーを展開するなど、工夫もする。
愛知県も14年度から「あいち健康マイレージ事業」を開始した。当初は紙ベースで申請し、自分で記録してポイント化するものだったが、20年度からアプリを導入。25市町村と約半分が活用しており、人口約750万人のうち、利用者は昨秋で約1万2600人。
東京都が進める次世代ウェルネスソリューション構築の支援事業では、KDDIが実証実験を担当する。スマホの健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」を利用し、20年度に豊島区、21年度に豊島区、板橋区、江戸川区で展開。
KDDI広報担当によると、20年度の豊島区の実証実験は3841人が参加し、うち50代が30.4%、60代以上が18.8%など。参加者の平均歩数は男女とも全国平均歩数を超え、アプリを通じ一定の効果があるとみている。
ポケットヘルスケアは、高知県日高村がすでに導入している。住民のスマホ普及率100%を目指す日高村は、KDDIなどと「村まるごとデジタル化事業」を共同で推進している。