地位・関係性を利用した性暴力についての意識をアップデートしていかなければいけない組織は、日本中に山ほどあるのではないか。決定権を持つ女性が社内におらず、安い使い捨ての労働力として女性を考えているような組織であればなおのことだ。

 先日、私の会社が某イベントに出展したときのことだ。他の出展社の男性が近寄ってきて、スタッフに「お姉さんも、バイブ使ってるの?」と聞いてきたのだった。健康に関する商品を扱う数百社が集うビジネスライクなイベント会場でのできごとである。そういう時は一切相手をしないと私たちは決めていて、そのスタッフも「そういう質問には答えません」と言った上で、「そのような発言はセクハラにあたるからやめたほうがいいですよ」と注意してあげたそうだ。立派な振る舞いだと私は思う。が、その男性(50代半ばくらいか)は、彼女がそう言ったとたんに激高したという。何を注意されたか、ではなく、女に注意されたことが気にくわなかったのだろうか。「そんな態度でやってけると思ってんのか?」と声を荒らげたそうだ。

 その報告を受けた私は、イベントの主催者に安全に仕事をするために環境を整えてほしいという旨を伝えた。

 それからが大変だった。私のクレームがどう伝わったのかは不明だが、さらに激高した男性がまた威嚇しに来てしまったのだった。主催者側の人に来てもらったが、男は大きな声を出し、私たちを侮辱し続けた。「セクハラされたくないなら、こんなもの(ドイツから輸入した女性向けのトイ)売ってんじゃねーよ」などという男性の挑発に、残念ながら私は乗ってしまい「謝れ!」「気持ち悪いよ!」と男に向き合ったが、私が怒りを見せると今度はハハハハハと高笑いするのだった。怒っても、冷静に対処しても、何をしても私たちが「勝つ」ことも、「気が済む」ということもなかった。それが被害にあう、ということなのだろう。

 繰り返すがビジネスの場である。もちろんそれがどんな場であっても男の振る舞いは許されるものではないが、やはり衝撃を受けた……日本の企業、どうなってますか? 

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