放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん
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 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、話題の映画「ドライブ・マイ・カー」について。

【写真】いい雰囲気。村上春樹ライブラリーの中は?

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 濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」を見に行きました。村上春樹さん原作。カンヌ映画祭では、日本映画初となる脚本賞ほか、計4冠。そして、日本アカデミー賞ではなく、アメリカの第94回アカデミー賞で、「ドライブ・マイ・カー」は、なんと日本映画として初めて作品賞の候補に入った。これは驚いた。スティーブン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」などと競うわけだ。そして、監督賞の候補にも入る。これは、「砂の女」の勅使河原宏監督、「乱」の黒澤明監督に続き3人目の快挙。こちら、計4部門の候補に入る。いや、すごい。

 最近は、韓国エンタメが世界で活躍する情報ばかりが耳に入るので、このニュースを聞いて、僕はまったく関係ないが、すごく嬉しく思った。

 で、やはり、「見なきゃ!」と思った。正直、言うと「見たい」ではなく「見なきゃ」という思いが先。アカデミー賞の候補に入ったとなると、これから話題になることもかなり増えるだろう。ラジオなども含めて、僕も発信することが多い立場なので、「見なきゃ」と思う。

 なぜ「見たい」ではなく「見なきゃ」だったかというと、上映時間が179分あるからだ。3時間です。これが2時間だったら「見たい!」となるのだが、どれだけおもしろいと言われていても3時間と聞くと、躊躇してしまう自分がいる。

 しかも、「良質」な作品であることはビンビンと感じる。だからこそ、この179分が腰を重くさせる。だけど、さすがに「見なきゃ」と思い、先週の日曜日、お台場の映画館に一人で見に行く。

 お台場の映画館は空いてることが多いので、好きだ。そして映画終わりにアクアシティーで買い物も行けるのでよく行く。

 昼3時45分から予告が始まる回を見た。そして上映終了して映画館を出てきた時には、夜7時。夜になっていた。

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