人口や病院数などで一概にはいえないが、手術、放射線治療、ともに年間50例以上手がけるなら、頼れる病院といえるだろう。

 ■放射線や薬物療法など治療の選択肢は増えている

 排尿や性機能の神経を温存する「神経温存手術」を積極的に手がける病院もある。ホームページなどで情報を得るようにしたい。そのほかにも、内照射の一つであるHDR(高線量率組織内照射)や、重粒子線・陽子線を用いた外照射もある。受けられる病院は限られているため、希望する場合は主治医に相談してみよう。

 進行例でも、治療薬の選択肢は増えている。薬物療法はリストには記載はないが、手術、放射線治療どちらも同程度の多数の症例数のある病院なら、総合的な治療を受けられるだろう。

 前立腺がんは進行例でも、5年以上生存するケースも少なくない。他院で根治的治療を受けたとしても、通院しやすい場所に長く付き合える泌尿器科医をもつことも大切だ。

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【医師との会話に役立つキーワード】

《晩期合併症》

放射線治療特有の合併症。腸管からの出血などが治療後、数年たってからあらわれることもある。なかには5~10年たっても出血しやすい状態が続く場合もあり、とくに抗血栓薬を服用している人では、そのリスクが高くなるので、医師に相談しよう。

《グリソンスコア》

組織の病理診断で、がんの悪性度を1~5で表し、5が最も悪い。生検では細い針を刺して10~12本の組織をとる。「3」が最多、次に多いのが「4」であれば、3+4=7となる。同じ7でも4、3の順に多ければ4+3で、3+4よりも悪性度は高い。 

【取材した医師】

関西医科大学病院 腎泌尿器外科 病院教授 木下秀文医師

上尾中央総合病院 副院長・泌尿器科 佐藤 聡医師

(文/別所文)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より

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